たっぷりのカフェラテをあなたと
「絵里ちゃん、久しぶりだね……元気だった?」
「あ、はい。健吾さんってこの病院にお勤めだったんですね」
「いや、僕はピンチヒッターみたいなもんだよ。1週間に1回ここで診察してるんだ」
「そうですか」
「それにしても……絵里ちゃんとまた会えるなんて思わなかったな」

 相変わらずの優しそうな微笑みで、彼は私のカルテに何かを書き込んでいる。

「……ところで、今日はどんな相談で来たの?」

 急に医者の顔をした先生は、私の問診票をじっくり見つめている。

「あの、別の病院でピルを処方してもらってるんですけど。そちらの病院が今日休みだったので、こちらでいただけないかと思いまして」

「ふむ……」

 健吾さんはちょっと考えるそぶりをして、一度カルテから目を離した。

 健吾さんが私の事情を知っている。
 私が悪い男と付き合ってる……って相談したみたいなのだ。
 正直、そんな事を知られて死ぬほど恥ずかしい。
 でも知られてしまったものは、どうしようもない。
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