たっぷりのカフェラテをあなたと
「命を扱う仕事をしてるとね、その不思議な世界に引き込まれるんだ」
「……」
「当然いろいろなケースの患者さんを見てきたし、嬉しい事ばっかりじゃない。それは確かなんだけど……何だろう、新しい命たちに少しずつパワーをもらってるのかもしれない」

 私の身に何があったのかは聞かない。
 ただ、淡々と自分の心の内を離してくれる健吾さんを見ているうちに、私の中でも麻痺していた心が動き出した。

「許せなかったの……悪魔だって言いながら、結局あの男性を吹っ切れずに利用されっぱなしだった自分を……」

 そうなのだ。

 私は……浩介を憎み切れずにいた。

 それで結局捨てられた惨めな自分が許せなくて……悲しくて、悔しくて。

 それでこんなに苦しいのだ。
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