はなおの縁ー双葉編ー
「あの」

「後ろを見ちゃだめだぜ?」

と颯爽と歩いてゆく。

足がもつれそうになりながらも、

「でも、お代を払わないと」

と言うと、

「今日は付けでいいさ。」

と取り合わない。

しかし、彼の歩調についてゆくのが精一杯で思わず、

「少しゆっくり歩きませんか?」

と聞いてしまった。

初めてそこで彼の足は止んだ。

「ああ!すまん!歩幅の違いを考えなかった。ごめんな、いやな思いをしただろ?」

そう言った彼の顔はすごく優しい。

さっき、肩を抱かれてから、胸が波打っている。

締め付けられそうだ。

、、、、、あの人は、始めからあたしにそれとなくサインを送っていたのに、このときになってもまだ、あたしは自分の心がわからなかった。
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