はなおの縁ー双葉編ー
言い終わって彼を見ると信じられない、という顔をしている。

「むこうの父はずいぶん悩んだみたいです。あたしのこともかわいいし、相手の方も気に入っていて、家に入ってくれるという。そこで、悩んだ挙句に父に頼み込んだんです。」

もうすでに浅草の町まで来ていて、町の賑わい方が違っていた。

「事の顛末を聞いて父はだいぶ怒ったようでした。あたしが大きくなってから兄が教えてくれました。自分の勝手で他所へ子供をやるなんて、親の考えることじゃない。子供は俺たち二人で立派に育ててやるから安心しろ。ただし、もう絶対にこの子には会いに来ないでほしい、そう父は条件をむこうの父につけたそうです。」

再び彼を見ると、黙ってあたしを見ていた。

それが、なぜかとても安心できてしまう。
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