はなおの縁ー双葉編ー
「いいなあ、男の人って、こういうこと誰に構わずできるから。あたしは、一人じゃちょっと無理みたいです。親が許してくれそうもないから。」

と蕎麦屋の中を見回した。

調度、これからお昼時ということもあり、店の中は子供連れも、中堅のおじ様たちも、はたまたどこぞの奥さんで賑わっていた。

実際、こういうところへ男の人と二人で入ったなんてことが親に知れたら、どんな反応をするのか簡単に想像できてしまう。

知らず、ため息をついた。

「じゃあ、ここへは僕が連れて行ってあげるよ。行きたいときに言ってくれたら一緒にいくから。」

彼が身を乗り出して言う。

「君の勉強のためにもなるし、僕も楽しい。」

彼はにっこり微笑んだ。

頼んでいた蕎麦が来て二人の会話が途切れた。

運んできてくれたのは、この店のおかみさんでさっき紹介してくれた。
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