その瞳が、嫌い

さりげなく私の隣に座る要。

「久々。何年ぶりだっけ?」

「……4年ぶり、かな」

かな、だなんて。

はっきりと覚えてる

要は大学に行って私は専門学校で。

すっかり変わった環境に別れを切り出したのは私のほう。

「マジ、懐かしいな」

そう言って、彼は出されたビールを一気に飲み干した。


隣には座ってるけど、

「要、なんの仕事やってんの?」

「営業。もう毎日クタクタだっつーの」

話してる相手は、

「美容師ってもう髪も切れちゃうの?」

「全然! 相手はマネキンばっかなの」

違ってたり。

なのに、

「行こ」

「――っ」

突然耳元で囁かれて、振り向けば。

「ちょい、トイレ」

なんて要は立ち上がってて。

もう要とは別れて私には彼氏がいて。だから要の誘いなんて乗る必要は無いのに――。
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