GORIO-ゴリオ-
そして毛深いコンプレックスが自分の中で最高潮に達していたそんな時だった、ゴリオが高校の先輩と付き合っていると風の噂で聞いたのは。
それまでゴリオの浮いた話など1つも聞いた事の無かった私は衝撃を受けた。
あのゴリオが--
その風体から人に怖がられるばかりだったゴリオが、
まさか美人で名高い先輩と付き合っているだなんて。
とても信じられ無かった。
いや信じたく無かった。
だって…ゴリオだよ?
歩く筋肉と化した厳つい容貌の、まるでゴリラのような威圧感丸出しのゴリオだよ?
女子に威圧感は与えても、好かれる要素なんて微塵も見当たらないゴリオだよ?
そんなゴリオに彼女が出来ていたなんて…。
途端に言い知れぬ不安が私を襲った。
血の気が引いて指先から冷えて来るのが分かった。
ゴリオが急に遠く感じられた。
いやだ…
置いて行かれたくない。
私を置いてどんどん先へ進んでしまうゴリオが怖かった。
私の手の届かない所へ行ってしまいそうで嫌だった。
何時だって隣に並んでいたいのに。