Sales Contract
取り敢えず車に乗り込んだ。
だけど今度はあたしが助手席。
「どこまで行くの?」
「んー…ホテルとか?」
冗談っぽくそう言う春樹は、10年前の彼と何も変わってなかった。
「バカじゃないの」
あたしも当時のように軽くあしらう。
「えー。
じゃあ…適当に走って喫茶店にでも入る?
せっかく久しぶりに二人で会ったんだし、俺たちもゆっくり話そうよ」
返事をする前に車は走りだした。
運転するのも嫌いじゃないけど、やっぱり自分にはこっちの方が似合ってると思った。