Sales Contract


「…どうすればいいかは散々悩んで考えてるみたいだし、あとは千絵次第って訳か」


「ずっとこの温い関係じゃだめなのかな…?」


「いつかプツって切れてもいいならいいんじゃない?
でも続けたいなら、千絵が変わらなきゃな」


ごもっともだ。
でも…あたしだってそんなこと分かってる。

ただそうやって春樹に背中を押してもらいたかっただけなのかもしれない。


「好きになれるかどうかなんてどっちでもいいんだよ。
そう思えば気楽だろ?
恋愛の形なんて人によって違うんだから、一々こだわってられないよ」


この人が言うと妙に納得してしまう。


この時ふっと思ったけど…
人って、恋愛について話すと人が変わったように素敵になるんだなぁ。

社長もそうだった。


きっと春樹もお姉ちゃんのことが本当に好きなんだよね。

今まで勝手な願望で、その事実を否定していた自分が恥ずかしくなった。

きっと春樹はいいお父さんになる。

そんな気がした。

「うん…ちょっと今の言葉に励まされたよ」


「ちょっとかよ」


そう言って、お互いに笑った。



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