Sales Contract
来た道を戻り、車はあっという間にお姉ちゃんのマンションに到着した。
入り口には約束どおり、二人が待っている。
「おかえりなさい。
千絵、秋本くん、今日はありがとう。
今度は二人でゆっくり遊びに来てね」
そう言うお姉ちゃんはなんだか幸せそうだった。
一方、その隣にいる勝也くんは照れ臭そうにしている。
「秋本くん…千絵は難しい奴だけど、仲良くしてやってね」
声のする後ろを振り返ると、普段の優しいエリートの顔をした春樹が、笑っていた。
「はい、わかりました」
「ちょっと勝也くんまで…面倒見てるのはあたしの方なんだからね」
そんなあたしの言葉は彼らの耳には入ってないみたいだ。