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車が走りだした瞬間、カチコチに固まった勝也くんの表情が一気にゆるむのがわかった。

「はぁ〜」

なんて大きなため息をついて、相当疲れたようだ。


「お姉ちゃんに言いたいことは言えたの?」

遠回しに尋ねるのも今は面倒だ。

「うん、まあね。
全部自分の思ってること伝えたけど…
なんか半年近く会ってなかったら、どう話したらいいのか分からなくなっちゃってて…ちょっと悲しいけどよかったのかなって思ってる。

あ、千絵さんと今一緒に住んでるって言ったら、安心してたよ。」


「そう…」


ハンドルを握りながら、あたしまで少し切ない気持ちになった。


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