Sales Contract


「本当にさっきは失礼なことをしてしまってごめんなさい。
本来は俺、チャラチャラしてるわけじゃ無いですからね?」


彼の必死で弁解する姿を見たら笑ってしまった。


「それは昨日、後輩を送ってくれたときの態度を見てわかったわよ。
それより…すごい演技力ね」


そう言うと彼は顔を赤らめた。


「高校のとき、演劇部に入ってたんですよ。
このルックスのせいでいつも悪役ばっかりさせられて、悪い男を演じるのは得意なんです」


「渡辺くんなら王子様も似合いそうなのに」


思ったままのことを言ったらまた笑われてしまった。


「いやいや、キャラじゃないですから。
まあ、本当に好きな人に対しては王子様でいたいですけどね」


「渡辺くんって、意外と気障なのね」


あわてる彼を見たら自然と笑顔になった。


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