Sales Contract


「このタイミングですごく不謹慎なこと言ってもいい?」


さっき村上に言われたことを思い出した。


「相当のことじゃないとキレないから大丈夫だよ」


さっきのあたしの言葉で自信がついたのか、余裕そうに彼は笑っていた。


「じゃあ言うけど…渡辺くんって彼女とかいるの?」

彼の表情が固まった。


「本気で怒らせたいの?」

「違う違う。
村上が勝也くんに聞けってうるさいのよ」


ふーんと言うと不貞腐れた彼は


「いないよ」


っと小さい声でつぶやいた。


「そう…ありがと。
多分彼女、喜ぶと思う」


正直に言えば、渡辺くんがフリーってことを聞けたことよりも勝也くんの可愛らしい反応を見れたことが嬉しかった。


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