Sales Contract
「日曜の夕方に呼び出すなんて、すごい度胸だな」
不機嫌そうな声で社長が言った。
「ここまで来てくださった社長には負けますよ」
ふっと鼻で笑うと、車は走りだした。
「何かあったのか」
「こんな風にわがまま言っても来てくれるのか、知りたくなったんですよ」
愛想笑いも今日はする気になれないので、可愛げの無い低い声でそう返した。
「一応心配したんだけど」
「優しいんですね」
「大事な秘書を放っておく訳にはいかないだろ?」
運転する社長の横顔を見ながら、こういうのも悪くないと思った。