17-甘い君たち-
南緒の頷いたところを見たら、なんだか全部スッキリした。もう迷わない。だってもう、隠さなくていいんだ。
堂々と、南緒を好きでいられるんだ。
「うん、じゃあそういうことで」
翔太がそう言って笑顔を作った。コイツの笑顔を見るのも一週間ぶりだ。
約束をしたからとはいえ、一週間も南緒に無視されていた俺たちはこれ以上ここにいるのは南緒に迷惑だと思って部屋を出ようと扉へ向かおうとした。
だけど、それを南緒の声が止めた。
「あ、ちょっと、待ってっ……」
さっきまであんなに挙動不審だったくせに。南緒の声が嬉しくて、俺らは即座に後ろを振り向く。
視線をそらしながら、恥ずかしそうにしている南緒が、たどたどしく話し出す。
「わ、私……困るとか言って、ごめん……。ちゃんと、考える。ちゃんと考えるから……。その、こんなこと言うの、どうかと思うんだけど……」
そして、そらしていた視線をゆっくりと、あげた。その目には、涙がたまっていて。
「誕生日まで、今まで通り、接してもいい……?」
ああ、そんなことが。
そんなことが不安だったのか、南緒。
「「あったりまえだろ、ぶわーか」」
またウザいほどに息ピッタシの俺らの声が重なった。
俺ら、また南緒に救われちまったよな。だって、このまま南緒の誕生日までの2週間を過ごすことになったら、俺らは灰にでもなっていたかもしれない。
南緒が、1週間無視してごめんね、とつぶやく。正直めっちゃつらかったけど、南緒にそんな風に言われたら許すしかない。