17-甘い君たち-

尋が私の手を優しくいて。玄関へと2人で歩き出す。

横を歩くきみを見上げながら、昔のことをまた思い出す。

あの日、あの時想ったことを、今口に出すのはどうかと思うけど。


_______ねぇ、例えば。


「もし私たちが " 幼馴染 " じゃなく生まれてきたら、尋は私の事好きになった?」


「あたりまえだろ」って笑ってくれるかな?
「さーな」ってはぐらかすかな?
「わかんねー」って空を見上げるのかな?


玄関で待つ、翔太とその彼女を見る前に。


「……俺は、幼馴染だったから、南緒を好きになったワケじゃねーよ。……でも」


ぎゅ、と。あの頃から変わらないみたいだ。大好きだという代わりに、いつも強く私の手を握ってくれる君の癖。


「幼馴染だったからこそ、こんなに好きになれたんだとも思ってる」



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