17-甘い君たち-
「あの……さ、なんか、された?」
珍しく弱弱しい翔太の声に、なんだか戸惑う。
お互いうつむいているから、顔は見えないけど。でもきっと今、翔太が悲しい顔をしてるってことは、わかる。
「なんか……って?」
「言いにくいこと、されてない?」
……何かって、告白のこと、かな。
それは、2人には知らせないほうがいいかもしれない。なんとなく、それを伝えることはしたくなかった。『どうしてあいつを庇うの?』って言った翔太の目が、まだ私の中に焼き付いていたからかもしれない。それに、伝えたらきっと安藤くんの身が危ないし……。
口籠る私を見て、翔太が焦りだす。
「やっぱ……キスとか、それ以上のこととか、されたのか……?」
「は、はああ?!」
予想外の言葉にガバッと顔を上げると、翔太も同じように顔をこちらへ向けていて、目があった。
「ばっかじゃないのっ!
そんな訳ないよ! ていうかデレカシーってものはないの?!馬鹿!」
ボコッ、と。私が勢いよく投げたクッションは翔太の顔面にヒットしたけど、翔太は表情一つ変えなかった。私はそんな翔太の顔から目が離せなかった。
「……抱きしめられてたくせに」