17-甘い君たち-




スカートのひだを直して、ベットに座る。部屋の外で誰かが話しているのが聞こえた。


お母さんと、_____翔太?


私が声の主を考えている間に会話は終わったらしく、突然扉がノックされた。コンコン、と。律儀な2回目のノック音の後、ゆっくりと扉が開かれた。

思った通り。
そこにいたのは、やっぱり彼だった。


「翔太…」

「南緒!? 起きてたの…」


よほどビックリしたのか、目を真ん丸にした翔太が、一歩前へでて扉を閉める。翔太、怒ってないの? こんなに自分勝手な私のこと。


「……ここまで、運んでくれたの?」

「あー…。いや、それは尋があとから来てくれて、さ」

「そっか……尋にもお礼言わなきゃいけないな……」


沈黙が、私たちを包む。

翔太は右手に包帯をぐるぐる巻いていた。そりゃあ、殴った方も怪我をするし、痛いに決まってるよね。

その痛々しい手を見ていたら、何故だか泣きそうになってくる。胸があつくて死んでしまいそうだ。

翔太、勉強頑張ってるのにね。その手じゃ、数日間シャーペンすら握れないかもしれない。本当に、ごめん。ごめんね、翔太。
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