17-甘い君たち-
「もー、2人とも過保護すぎだよ!
私だって、もうすぐ華のセブンティーンなんだからね」
「あと一ヶ月だもんな、誕生日」
「まあ、それとこれとは全然話が別だけどね。南緒はそのままでいいと思うけど?」
くっ……。そのままでいい、なんて、翔太、上手いこと言うんだから。
尋も、そのとーりだぞ、なんて口を挟むし。本当にこの2人は、私の扱いが上手い。
たかかリップごときで、こんなに口を挟んでくる幼馴染が他にいる? いや、きっとどこを探したって絶対いやしない。2人はとんでもなく、過保護だ。
「……翔太も尋も、何もわかってないんだから!」
校舎が近づいてきたのをいいことに、私は全速力で駆け出した。
こんなに過保護なあの2人は、学年一、いや、学内イチのモテ男。
そんな2人を、両脇に抱えて登校するアタシ。そりゃあ、噂になるのも無理はないかもしれない。
男の気でも引くつもり? って。本当に、デレカシーの欠片もない!
ちょっとでも、2人に近づきたいと思う悪あがき。そんな私の気持ちを、2人はなんにもわかってないんだ。
だって、本当は私だってわかってるんだよ。2人に自分がつりあってないことくらい。
16年間彼氏が出来たことはないし、告白だってされたこともない。
あんなにカッコいい2人が私に構ってくれているのは、" 幼馴染 " だからって、ちゃんとわかっているつもり。
でもね、でも……。
やっぱりいつか、2人が離れていってしまうってわかっているから。
だから私は、少しでも2人に近づきたいんだ。せめて、2人と一緒に歩いていても、何も言われなくなるくらいに。