17-甘い君たち-
「……離れて行ってほしくない」
好きだ、とは言えない。
だから、せめて。
「俺も、翔太も……。
南緒のことが、本当に大事なんだ」
わかってくれ。
好きで好きで仕方ないんだ。
誰にも渡したくない。
本当は翔太にだって笑顔を向けてほしくないくらい、南緒のことが愛しい。
誰もいない2人きりの部屋に閉じ込めて、鍵をかけて、一生南緒を独り占めしたい。
それくらい、俺は_____南緒のことが好きなんだよ。
でも多分それは、きっと翔太も同じだ。
ずっと同じ子を想ってきた幼馴染でありライバルでもある翔太のことは、多分誰よりも俺がわかってる。
でもだから。だから余計に、この恋はつらいんだ。
「ごめんね……ありがとう……」
何に対してのごめんなのか。
何に対してのありがとうなのか。
南緒の涙を見たら、すべてぶっ飛んだ。
普段、簡単に泣いたりなんてしないのに。俺らはこんなにも、南緒のことを不安にさせていたんだ。
ああ_____好きだ。
誰よりもお前が好きだ、南緒。
好きすぎて心臓が痛むくらい。
好きすぎて呼吸ができなくなるくらい。
南緒、お前が好きだよ。
感情が、理性が、ぶっ壊れそうだ。
南緒、お願いだから_____泣かないで。
俺は静かに席を立って、南緒の頬に手を寄せた。
「……南緒」