17-甘い君たち-
『南緒!今日おまえんち行くからな!』
『えー? 今日は宿題がたくさんあるよー』
『そんなん、一緒にやればいいじゃん。』
小学4年生というその時でも、俺らの関係は今とまったく変わらない。
俺らの間に南緒を挟んで登下校。
揺れるランドセルはあの時の俺らにはまだ重くって、やんちゃだったら俺のそれはすでに薄汚れていた。
確か、南緒のランドセルは綺麗な赤色だった。
後ろから、3人並んだ俺らを見たら、黒に挟まれた赤色がひときわ目立っていただろうな。
俺と翔太は、俺らの一番古い記憶の時から、南緒が好きだった。つまり、その時にはもう南緒のことが何よりも大切だった。
でも、俺らにも恥ずかしさっていう感情は芽生えてくるわけで。
その時にはもう、幼稚園や低学年の時は気軽に言えた『好き』って言葉が、そう簡単には言えなくなってたんだ。