河の流れは絶えず~和泉編~

みっつ

見送ってから、嬉しさがこみ上げすぎておもわず、

「よっしゃあ!」

と叫んでしまった。

すると、後ろに気配が現れて

「なにが、よっしゃあ、なんだい?」

と声が聞こえる。

まぎれもない、ここの女将さんの声だった。

「いやあ、なんでもないよ、ちょっと気合を入れただけさ。」

そんな俺の姿が疑わしげだったのか、横目で見やる。

「嘘をつくなら、もっとましな嘘をつくんだね。あたしを出し抜こうったって、そうは問屋がおろさないよ。」

そう言って、中に入るよう、手招きする。
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