河の流れは絶えず~和泉編~
とにかく、急ぎ、きぬたやまで戻って昼飯を頼んだついでにここの店の子の正吉を呼んだ。

「浩平兄ちゃん、いらっしゃい。なんだい御用ってのは?」

目をくりくりさせて聞いてくる。

「ああ、実は急ぎなんだ。正坊、悪いがこれをあるおねえさんに届けてくれないか?」

そう言って結び文を渡した。

「その、おねえさんは線路沿いの道で俺が来るのを待っているから、これを渡して返事をもらって来てくれ。いいか、必ず、返事を貰うんだぞ?」

そう言って、お駄賃も渡した。

「いいか?そのおねえさんの名前は沢 夏葉というから、きちんと尋ねて確認しろよ。それとな、多分お姉さんはおまえにもお駄賃をくれると思うから絶対に貰っちゃだめだぞ?いいな?」

と念を押して出かけさせた。
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