河の流れは絶えず~和泉編~
線路沿いの道に差し掛かり、ここは雨が降るとひどくぬかるむため、気をつけながら歩いていると、前方にこの雨の中で濡れたまま立ちんぼにしている人を見かけた。

姿かたちから女というのはわかったが、ここでは顔を見ることができないので少し近づいてみた。

顔が見えるところで驚いてしまった。

その子はこの界隈でと言っても、男の間でだけだがみやこ小町、と噂されているあの子だった。

こんな雨の中で傘も差さずにずぶ濡れになっている。

俺はしばらく立ち尽くしたまま、考えていた。

前から気に掛かっていた子だった。

街で、道で見かけても声を掛ける機会も勇気もなかった。

今、ここにいるのは俺だけだ。

行くか、やめるか?と、自分に問いかけて逡巡したが、足はもう動き出していた。

彼女から2,3メートルのところまで来て何をしているのか解かった。

ああ、下駄を直している。

鼻緒が切れたのか、可哀相に。
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