河の流れは絶えず~和泉編~
鼻緒はすぐに直り、彼女の前に下駄を置いてやり、傘を受け取った。

彼女をこれ以上濡らしたくなくて幾分、彼女に近づいた。

「ちょっと、履いてみて。」

出来具合が気になったのでそう言った。

すると、彼女は立ち上がり、泥で汚れた足袋を脱いだ。

そのとき、一瞬彼女の足が足首の上まで見えた。

とても白くて艶かしく、思わずどきりとした。

「わあ、上手なんですね、調度良くできていて、、、。」

と彼女はすごく喜んでくれた。

そのときの彼女の笑顔がいまも思い出せる。

ひどく安心したような、喜びの顔だ。

俺もそんな顔を見てうれしくて

「そう?じゃあ、よかった。、、、あ、あれ、ちょっと、手を見せてくれませんか?」

今まで気がつかなかったが、彼女は手に血を滴らせていた。
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