河の流れは絶えず~和泉編~
「それは、、、そうですけど、でも。」

「ちょっと待ってて、すぐにできるから。」

俺にとっては鼻緒を直すなんて訳のないことだった。

しかし、こんな幸運に少し舞い上がっていたかもしれない。

何より彼女の下駄だからと、だいぶ注意して鼻緒を直した。

そうこうしていると、彼女がすっと側へしゃがんできた。

見ると、傘を差し出してくれていた。

優しい子なんだな、しかしだいぶ濡れてしまっている。

彼女の傘は、と見れば半分以上へしゃげてしまっていた。

彼女は俺の傘を差し出して自分は濡れたままになっていたのだった。

「君が濡れちまうよ。」

けれど、彼女は笑って

「いいです。」

といった。
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