河の流れは絶えず~和泉編~
其の七 おおぎやで

ひとつ

昨日、意外な話を聞いてからと言うもの、だいぶ想いが逡巡した。

向こうへ行って彼女が迷惑に思ったら逆効果だろう。

けれど、あれから更に自分の気持ちに拍車が掛かってしまった。

ひどく心がもんどりうっている。

どうする?

どうしたいんだ俺は。

散々に迷って結局、俺は外に出た。

足は扇屋に向いていた。

俺の中ではこの機を逃しちゃならんという勘があった。

一か八か、当たって砕けろだ。

しかし、行く道でも迷いに迷っていた。

こんなに情けない男だったか、俺は。
< 76 / 183 >

この作品をシェア

pagetop