河の流れは絶えず~和泉編~
「なんだい、それ?」

「差し入れさね、持ってお行き。」

ひょんなところから味方ができたようで、ありがたいけれど、何だか照れも入る。

しかし、好意は素直に受け、

「おばさん、ありがとよ。」

と盆を持ち部屋を教えてもらって上に上がった。

ああ、なんてっこたろう。

こんなチャンスは二度とないぞ。

気持ちは浮き足立っていて、心臓は踊っているが、この期に及んでまだ迷っている俺がいる。

こんなにずるい人間なのか、俺は、、、、、と。
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