囚われの歌姫
……さっきの子達か。
回りの人達はお喋りに夢中で、あんまりこっちを見てた人はいないようだった。
だが、確実にあの子達――颯人をカッコいいと言っていた子達は、颯人が私に抱きついてきたのを見ていた。
じゃないと睨まれる理由がわからない。
女って恐い。
「ねー、梨亜ちゃん。誰、その人?」
すぐ隣から文音ちゃんが私に問いかけてくる。
そっか、知らないのか。
「彼氏?」
「違うっ!」
全力で否定したらびっくりした顔で文音ちゃんが私を見ている。