【コラボ】ブラック・メール


「マネージャー、予定していた派遣社員の面接、お願いします」


「はい、入っていただいて」



扉の外から聞こえた社員の声が、まりあにとっては天の助けに思えた。


やっと、来てくれた。


遅く思えたけれど、予定時間ピッタリだ。



「失礼します」



やがて現れたのは、背の高い、若い男だった。


言葉のイントネーションに独特のものがあるのが、すぐにわかる。



「はじめまして。
(株)gattoから派遣されました、セッテいいます」



そういうと、彼は一礼した。


まりあは慌てて、自分の名刺を取り出す。



「はじめまして、安城です」


「ああ、ありがとうございます。
すいません、俺、名刺持ってないんですわ」


「ま、『猫』だものね」



マネージャーがうなずきながら言った。


< 3 / 90 >

この作品をシェア

pagetop