【コラボ】ブラック・メール


無意識に、瑛の会社の調査結果を期待するような顔をしていたのだろうか。


(情けないな……)



自分のことなのに、瑛やセッテに頼りすぎている。


まりあはまた心が重くなっていくのを感じた。


瑛はネクタイを緩め、まりあに話しかける。



「心配するな。当日は俺がいる」


「はい……」


「なんだ、その顔は。

俺の体力が衰えていると思ってるな?」


「そんなことは……」



思っていなかった。


瑛は実戦から身を引いた今も、時々その片鱗を見せる事がある。


まりあがうっかりコーヒーを入れたカップを落としそうになった時、座っていた瑛は片手でそれを受け止めた。


一滴もコーヒーをこぼす事なく、普通にカップの取っ手を持っていて、驚いた。



< 43 / 90 >

この作品をシェア

pagetop