【コラボ】ブラック・メール
「……樹」
思わず彼女の本名を呼ぶ。
「なに?」
「もしも。もしもやで。
自分、妊娠してたとするやん」
「してない」
「だから、もしもやって」
してないのは当たり前だ。
ノーヴェの仕事はまだ契約が残っているし、彼女も望んでいない。
セッテはそこに関しては、細心の注意を払っていた。
「お腹大きい状態で、式すんの嫌か?」
「嫌。しんどい」
「そっか……その状態でしかできないとしても?」
「それなら、やらなくていい」
……聞いた相手が間違っていた。
彼女は他の女性にある少女的な憧れは一切ないらしい。