小悪魔ちゃん
階段を駆け下りると、あたしはそのまま近くの空き教室に入った。
悠達がいつも行くカラオケはあたしが帰る方向……。
もう走るのも辛いし、このままここであの集団が去っていくのを待とうと思っていた。
近くにあったイスに座り、カバンを床に置く。
イスにもたれかかりながらボーッとしていると……何だかとても切ない気持ちになってきた。
「……何でこんなことしてるんだろう……」
あたしは別に悪いことなんてしてないのに……どうしてこんなとこに隠れてるんだろう。
どうして……――
少しすると、外から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
あたしはそっと窓から外の様子を見る。
あの集団が楽しそうに笑いながら校門に向かって歩いてるのが見えた。
あれが校門を出て少ししたら帰ろう……。
そんなことを思いながら輪の中心にいる悠を見ていると……胸がキュッと苦しくなった。
……あたしは右手で胸を押さえる。
痛い……苦しい……。
だけど……どうすることもできない。
……泣きたい。
……そう思った瞬間のことだった。
「あれ、今日は用事があるんじゃなかったの?」
突然、知らない声が聞こえた。