曼珠沙華
窓の鍵を
確認していた男子が
窓の外を眺め
言葉を漏らした
「日高 綺麗になったよな」
言葉に乗せられ
窓の外を見ると
色白の女の子が
音楽室のある校舎へ
足早に歩いている姿があった
赤いスカーフが揺れ
曼珠沙華の赤に照らされた
見覚えのある顔に
目を凝らす
安島の横で
微笑んでいた
女の子に違いない
黒板消しを
叩き終えた女の子が
窓を閉め
「日高さん 化粧してるんだって」
日誌を書いてる男子が
口角を上げ
「色気づいてんじゃん」
嫌味を含め
笑った