曼珠沙華


日誌を閉じた男子が
窓の外を見ながら
立ち上がる


「日高 紫乃と言えば
 安島の幼馴染だろ?」


カーテンを束ね
振り返る男子


「美男美女のカップルじゃん
 入り込む隙がねぇな」


「まぁ お前じゃ無理だろうな」


小学時代からの
付き合いなのだろう
笑いながら
じゃれ合う男子二人


飽きれた顔で
見ていた女子が
溜息を漏らし


「そうでもないみたいよ」


意味有り気な
言葉を告げた


< 28 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop