曼珠沙華


僕は 膨らんだポケットを握り
自転車を漕ぎ始める


同級生の女の子


”日高 紫乃”


色白の透き通る肌
整った顔


日誌を書いていた男子が
口角を上げて告げた言葉が
蘇る


『色気づいてんじゃん』


思春期の女子


化粧などしてるから
目を付けられるんだ


投槍な回答


自転車を漕ぐ足が
次第に遅くなってゆく


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