口紅と絆創膏【TABOO】
結婚式場の庭に、十字架がぼんやりライトアップされた場所があり、ここが、今日の溜まり場だ。
「桜、ごめん。待った?」
「大丈夫。どうしたの、結婚前夜に呼び出すなんて」
私は、うっすら笑みをもらした。
昴は、優しく微笑んだ後、急に真剣な顔つきになった。
「俺は桜しか好きになれない。ここで先に誓いあいたい。本当の結婚式は今日なんだ。誓ってくれるか?牧師がいなくても、神様が見てる」
昴の顔が近づいてくる。
私は涙を流しながらキスに答えた。
「私も昴が好き。昴がいい。神様、本物の誓い見てくれてるかな?」
「大丈夫。もし、天罰が下っても俺が全部引き受けてやる」
「だめだよ、私だけ幸せになるなんて。罪は平等」
私たちは小さく笑いあって、おでこを合わせた。
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