紅い雪が降った夜から


「あ…ちょ、痛いってば」

「黙って」


痛がるナタリアを制し、視線を部屋のあちこちに巡らせ、最後にドアを見た。


「レディ、君を守る騎士は留守のようだネ」


青年の笑った顔はまるで人形のようだった。

本当に笑うのではなく、ただ機械的に微笑むだけの、人形。

< 8 / 13 >

この作品をシェア

pagetop