月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
自己紹介したあと私は、ふと、ある疑問を葉月さんに尋ねてみた。

「あの…さっき葉月さんが言ってた"月詠姫"って…何ですか?」

「そうだな…紫苑」

葉月さんは少し考えてから、紫苑さんを呼んだ。紫苑さんは表情を一切替えず、葉月さんに近づいた。

「ありがとう」

葉月さんは紫苑さんから巻物を受け取ると、紐を解いた。そして、静かに読み始めるー…

「かつてこの日ノ本は、世界的大飢饉に見回れた。作物は枯れ、人々は飢え死に、世界は闇に包まれた。そんな日ノ本にまばゆい光が解き放たれた。月から9人の人間が現れたのだ。その者らは不思議な力を持っていた。あれから数百年ー…以来、世界は平和になった。だが、世界がまた飢饉に襲われる時、違う世界から姫が現れ…2人の守護者を連れてやってくるだろうー…」

「……」

2人の守護者…拓真と伊織のこと?確かに、2人は私の大切な幼馴染みだけど…

「私はその者達を"月詠姫"と"月詠守護者"と呼んでいる。そして、月詠守護者なる者にはその証として、体の何処かに三日月の印が刻まれているのだ。ちなみに、私は左首筋にある」
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