月詠姫〜癒しと鬼一族編〜
「俺は…額にある」

東雲はバンダナをほどくと、ゆっくり私の方に向いた。東雲の額には、三日月の印があった。

「俺は左頬や」

雅さんは頬に貼ってあった湿布を取る。

「私は左の胸元よ」

そう言って桜華さんは着物の襟をチラッとめくった。

「僕は右の掌にあります」

真央君は右手の手袋を外し、私に見せてくれた。

「私は…右腰だ」

紫苑さんは着物をめくった。

「その2人の人間にも、私達と同じ印が何処かにあるはず…月」

「はい…」

「月詠姫には、満月の印が鎖骨の間にあるんだ。それは月詠姫が現れた約500年前から決まっている」

「鎖骨…」

そう言えば目覚める前、夢で見た。光が集まって、私の胸のところで消えた。私は鎖骨に手を向けて、ゆっくりと止めた。

「…」

あった。鎖骨あたりが少し盛り上がっていて、肩まで模様が広がっていた。

「(なに…これ…)」
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