【コラボ】忘れられないヒト
だが、大人の男になる為にと自身を鼓舞して、崇文はウイスキーを半分ぐらいまで一気に飲む。


「せ、関さん!大丈夫ですか?」


グラスを少々乱暴にテーブルに置いた崇文の目は、据わっている。
照明が暗いから佳乃には分からなかったが、きっと顔も真っ赤だろう。

部下達の酔った顔を散々見てきた佳乃だ。
崇文が今どんな状況かは、すぐにわかる。


「よしのさん!」


勢いのついた崇文は、名前で呼んできた。


「はい。」

「忘れられないなら、ちゃんと言って下さい!」


酔っていても、崇文の純粋さは変わらない。
アルコールが入ると本性が現れると言うが、彼はいつでも真っ直ぐだったのだ。

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