【コラボ】忘れられないヒト
なんと返せばいいのか分からずにいると、崇文は驚きに固まっている佳乃の手を握って、至近距離で見つめてくる。


(ち、近い・・・!)


何故だろう、鼓動が速くなる。
恥ずかしくなって佳乃は目を逸らす。


忘れられない人。

好きだった人。


思い出すのは、二ヶ月だけ自分の隣にいた、あの人。



「忘れられないわよ・・・。」



頭に彼の笑顔を思い出すだけで、胸がこんなにも甘く切なく締め付けられる。
崇文の言うとおり、過去になんて出来ていない。


自分の情けなさに、悲しい笑いがこぼれた。


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