あの頃のように
「……」

「金でも積まれたのか? 俺をはめるために」

「……」


沙稀は黙って首を横に振った。


「じゃあ、探偵の助手でもやってたの?」

「……ううん」

「……まさかとは思うけど、自由党の調査員か何か?」

「ううん、違う」

「じゃあどうして、あんなことを——」

「……」


沙稀の大きな目が、俺をまっすぐに見た。

どこか憐れむように。


「パパは、ニッポン航空——NALの社員でした」

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