あの頃のように
(あたしは、一度握ったこの手を離せる?)


――きっと無理。

あたしはそんなに強くない。


「俺たちの未来はなかなかスリリングな予感がするね」


明るく笑いながら車のドアに手を掛ける潤也さんに続いて、助手席に乗り込む。



“俺たちの未来”


何気ない言葉が胸に染みわたって。



(そう。

今度戦うときは、きっと一緒――)



車の窓の外を流れていく景色が涙でぼやけて、見えなくなった――





【 あの頃のように  完 】

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