あの頃のように
とても、悪い、なんて思っていないような口ぶり。


こんなところで、潤也さんと相対するなんて、数日前ならまるで想像もしなかった。

なのに、何食わぬ顔で仕事の話をしている。


――まるで何ごともなかったかのように。


(それにしても、潤也さんがA***社にいるなんて。

――ヤマト証券の内定の話はチャラになっちゃったのかな……)


それもきっと、あたしのせい。



潤也さんの形の良い眉がすぅっとあがった。


「ずいぶん安月給で働いてるんだな」

「……」


(だって、大した能力も技能もないんだもん。

好きでこんな安い給料で働いてるわけじゃないから)


ついむくれながらも、気づいた。

潤也さんの手元の資料は、あたしの資料だ。

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