Hurly-Burly 5 【完】

その瞬間、手に少し力が加わった。

「前に進むなら振り返らねぇ方がいい。」

「・・・・うん、そうね。」

見たことある男の子だ。

確か、いつも日和ちゃんと仲良さそうに

放課後コンビニ行ってるのを見たことがある。

アフロの髪型が特徴的で前を歩く彼に、

何故か笑えてふふっといつの間にか溢れていた。

「えっ!?」

「・・・っふ・・・っ」

笑ってるはずなのに涙がとめどなく流れた。

もう、これで大好きだった人には会えなくなる。

これが失恋っていうものなんだって思うと今更

すごく痛くて苦しくなった。

「お、お、俺は実はカツラなんだ!」

ポロポロ涙を流すみっともないあたしを前に、

アフロ頭の男の子がそう言った。

「どうして、アフロなの?」

それでも、何故か彼にはアフロがよく似合ってるような気がした。

「カッコイイから!性格がヘボいから格好から

入ってるつもりなんだぜ。」

「そんなことないよ、さっきはありがとう。」

「痛いよな、俺もついこないだ経験した

から気持ち分かるよ。んでもさ、そういう時は

腹いっぱい食ってさ、笑ってればいつの間にか

消えてくはずだ。」

「ふふっ、肉まんくれるの?」

「おうっ、いっぱい食え。こっちは、ヒヨリンの

だからこっちのをな。」

日和ちゃんのお友達は優しい男の子だった。

不良が多いその中でも日和ちゃんが居るんだから、

そんなに悪い人たちなんかじゃなかったんだね。

確か、日和ちゃんが言ってたよね。

「ありがとう、よっちゃん。」

「うぇ!?」

「そんなに驚かないでよ。」

今日は初めての失恋記念日。




サヨナラした恋を忘れられるような新しい恋が出来ますように。

< 136 / 415 >

この作品をシェア

pagetop