Hurly-Burly 5 【完】

本当にあの家族は無茶苦茶な癖に酷く優しいんだよな。

朔に似て天才的で透真みたいに無鉄砲なところ、

俺は案外好きなんだけどねー。

「とりあえずはさー、ひーちゃんの様子しっかり見といた

方がいいかもしれないな~。何たって、1人でどうにかしようと

するのがウチの可愛い姫の行動パターンだからさーね。」

もしものことがあったら、俺だって何するか分からないよ?

折角、少しずつ表情崩せるようになったんだから、

ひーちゃんを傷つけるヤツ居たら殺しちゃうかもしれないな。

「可愛いってキャラかアイツ?」

分かってないなー慶詩は、可愛くないとか言いながらどうしても

可愛く移るものなんだ。

「可愛いよ。笑ったところ見たことあるんだろう?」

ニヤリと口元が緩んだ。

「あっ、別にひーちゃんをどうこうしたいなんて

微塵も思ってないから~、アイツのお兄ちゃん怖いからねー。」

「・・・・この間ので懲りたのか?」

相沢がクルッと視線をこちらに向けた。

「朔は鉄壁の守護神だろ~」

ある意味、透真や朝陽さん以上にひーちゃんのこと

溺愛してる長男坊だからな。

この間、アイツに会いにロスに行ったら部屋中

ひーちゃんの写真だらけで軽く引いたもんな。

送った写真を引き伸ばして壁に飾るとか

もう危ない人を通り越しちゃうだろ。

そこさえ、なければいい男なんだろうけどなー。

シスコンってヤツはどうも厄介だな。

「何で、アイツは1人暮らししてた癖にそういうとこ

過保護なんだよ?」

千治がせんべいを噛み砕いて飲み込んだ。

「・・・・いろいろあんだよ。ほら、ひーちゃん

末っ子で待望の女の子とあっては家族の宝のような

扱いを受けるのは可笑しくないんじゃないの?」

立花家が全員でひーちゃんにひた隠しすることがある。

俺も相沢も話でしか聞いたことがない。

それを現実で見てるわけでもないから何も言える立場じゃない。

ただ、ひーちゃんは芯が強いのは確かだ。

それでも、どこか危うい一面を持ってる。

気を抜けば簡単に壊れてしまうようなそんな取り扱い

注意の代物なんだよ。


< 144 / 415 >

この作品をシェア

pagetop