Hurly-Burly 5 【完】
本当にあの家族は無茶苦茶な癖に酷く優しいんだよな。
朔に似て天才的で透真みたいに無鉄砲なところ、
俺は案外好きなんだけどねー。
「とりあえずはさー、ひーちゃんの様子しっかり見といた
方がいいかもしれないな~。何たって、1人でどうにかしようと
するのがウチの可愛い姫の行動パターンだからさーね。」
もしものことがあったら、俺だって何するか分からないよ?
折角、少しずつ表情崩せるようになったんだから、
ひーちゃんを傷つけるヤツ居たら殺しちゃうかもしれないな。
「可愛いってキャラかアイツ?」
分かってないなー慶詩は、可愛くないとか言いながらどうしても
可愛く移るものなんだ。
「可愛いよ。笑ったところ見たことあるんだろう?」
ニヤリと口元が緩んだ。
「あっ、別にひーちゃんをどうこうしたいなんて
微塵も思ってないから~、アイツのお兄ちゃん怖いからねー。」
「・・・・この間ので懲りたのか?」
相沢がクルッと視線をこちらに向けた。
「朔は鉄壁の守護神だろ~」
ある意味、透真や朝陽さん以上にひーちゃんのこと
溺愛してる長男坊だからな。
この間、アイツに会いにロスに行ったら部屋中
ひーちゃんの写真だらけで軽く引いたもんな。
送った写真を引き伸ばして壁に飾るとか
もう危ない人を通り越しちゃうだろ。
そこさえ、なければいい男なんだろうけどなー。
シスコンってヤツはどうも厄介だな。
「何で、アイツは1人暮らししてた癖にそういうとこ
過保護なんだよ?」
千治がせんべいを噛み砕いて飲み込んだ。
「・・・・いろいろあんだよ。ほら、ひーちゃん
末っ子で待望の女の子とあっては家族の宝のような
扱いを受けるのは可笑しくないんじゃないの?」
立花家が全員でひーちゃんにひた隠しすることがある。
俺も相沢も話でしか聞いたことがない。
それを現実で見てるわけでもないから何も言える立場じゃない。
ただ、ひーちゃんは芯が強いのは確かだ。
それでも、どこか危うい一面を持ってる。
気を抜けば簡単に壊れてしまうようなそんな取り扱い
注意の代物なんだよ。