Hurly-Burly 5 【完】

ちぃ君にジッと見られてギョッとした。

車を何処かに移動しに行ったやっちゃんさんと、

助手席から降りたはずだけどどっか行ったターヤン

さんは見当たらずで先に進めていいものなのかなと

思っていたら急にちぃ君が口を開いた。

「この家には絶対に1人で来るなよ。」

「はい?」

「あぶねえーから来たきゃ言え。」

「了解しましたボス!」

気合を入れて告げるとちぃ君は笑みを浮かべて、

よしっと頭を撫でた。

その瞬間、クリスマス近くのあの情景が思い浮かんで、

ダブルターンをしてユウヤにぶつかった。

「いだっ」

突撃したせいかユウヤを軽くふっ飛ばした。

「あわわっ、すまない!わざとじゃないんだ。

断じて悪意があったわけではなく事故だ。」

1人慌てるあたしにユウヤがいいけどよと

言いながら許してくれた。

ちぃ君は不思議そうな顔をしていた。

い、イカン!あれは見なかったことにするんじゃないか。

あたしったら、お茶目ね!

木で出来た門を潜ると恐ろしく広い日本庭園に

居るのかと思わせる光景に目が輝いた。

橋まで掛かってる池には鯉や亀が泳いでいた。

どっかの料亭ですかと聞きたくなるほど、

素敵なお屋敷だったせいか周りでチラチラ居る

イカツイお兄さん方は気にならなかった。

庭で木臼があるなと思ってたらねじりハチマキした

オジサンたちが餅をついてた。

「えっ!?」

ゆ、愉快なことしてまっせ!!

極道ってもっとギラギラしてるイメージだった。

汗を流しながらにこやかに餅ついてる。

あれのどこが危険なのか詳しく説明して欲しい。

「今日は、鏡開きするらしいよ。

毎年恒例で餅つき大会あるんだ。」

馨君の解説で何故オジサンたちが餅をついて

キラキラ笑ってるのかが理解出来た。

餅大好きなちぃ君が目を輝かしてる理由も

分かったのであった。



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