Hurly-Burly 5 【完】

あたしのお口が砂漠になってラクダが彷徨うのは

時間の問題な気がする。

「京君、大丈夫?」

まだ寒い時期だって言うのに額に浮かぶ汗を見て心配になった。

この道、帰りの女子生徒多いからな。

遠回りでもいいから人気があんまりないところから

行くべきだったかもしれないな。

「・・・・・・ひよこは気にしすぎ。」

「気になるよ、京君頑張り屋さんだから無理しないでね。

もしもの時はあたしを盾にして良いからね!」

「本当に心配しすぎ・・・・・」

無理してるの分かってるよ。

無表情に見えてあたしだって京君がどれだけ女の人

嫌いなのかよく知ってるつもりだもん。

「ねね、涌井さん、今1人だしチャンスだよね。」

「話しかけてみる?」

「えーでも、何か近寄りがたいよ。」

女の子たちの言葉に京君がピクリと肩を揺らした。

灰色の髪が寂しそうに風に攫われてサラサラと靡く。

その様でさえ、美しい絵画のような光景だ。

一瞬、時間でも止まったのかと思うほど綺麗。

「京君、実はねよっちゃんがねナル君拉致事件の1件で

どうも全部すっからかんになったらしい。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「よっちゃんが留年しないようにと叩き込んでるわけで、

数学が壊滅的で指導法を変えるべきかもしれない!」

「・・・・・・ひよこ」

「怖くないよ、大丈夫なの!京君が嫌がることする

ならあたしがやっつけてやるから!!」

「・・・・・・・危ない。」

すってん転げて地面にべシャッと潰れた。

物凄い衝撃で痛かった。

「遅かった・・・・・・・・・」

「京君、あたしの運の悪さはカッコ悪いというべきですかね!?」

折角、ヒーローらしいセリフ言ってる途中だったのに!!

何なのよさ、あたしに何の恨みがあるんだね!

地面さん、君とは利害が一致しないようだよ。

全世界にある地面さんに謝罪をしてもらいたいね。

手を付いて地面から這い上がると京君が無表情で

あたしを見下ろしていてその表情が少し心配そうにしていた。

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