Hurly-Burly 5 【完】

だけど、何か本当は不安だったことが一気に

晴れていくような気がした。

「では、絶滅危惧種並に希少価値だということですね!」

「ひよこ・・・・・」

京君、ひよこは絶滅危惧種じゃないよ?

「あー、ホント可愛いな。食べちゃいたいぐらい可愛いな。」

「オゾゾッー」

伊織君父が恐ろしいです!

ハンターに猟銃されるうさぎのような気分だ。

「大丈夫、まだ食べたりしないから。」

「ひっい!」

伊織君父、あ、あなたという人は子どもを目の前に!

いつ食べごろだと言えるんだ!?

あたし食べ物ではないんです!

「た、食べられるようなものではありません!」

た、食べるだなんて煮ても焼いても美味しくないぞ。

お鍋の中でグツグツ煮られるの!?

鉄板の上にあっちって言いながら焼かれるの!?

じ、地獄よりも恐ろしいことだわ。

「閻魔様に交渉して鍋は土鍋にするべきだ主張したい!」

絶対に、鍋は土鍋派よ!

「どっからそうたどり着いた!?」

慶詩が頬ずえを付きながら溜息を吐く。

「と、ともかく、あたしは食べても不味いに違いません!

ペッってなりますからカトちゃんペッで許して下さい!!」

食材になるなんてご免よ。

ズボンのポケットからちょび髭を取り出して装着する。

「ペッ!!」

ど、ど、どうだ!!

「つーか、その変装グッズはいつも持ち歩いてのか?」

ゆ、ユウヤがブッと吹き出してすぐに質問してきた。

「当たり前だ!このご時世何があるか分からないのだから

常に常備をするのは当然だわ。」

「何時それ使うんだ!?」

ユウヤがお茶を吹き出しそうになった。

ふ、ふんっ!

何さね、わ、笑いたきゃ笑えば良いではないか。

みんなして、後ろ向いてコソコソして!

「い、いつでもどこでも!」

伊織君父のせいで恥をかいてしまった。

※人のせいにしないとやってけないほど、

心折れています。

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